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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒




ふと、この家の中の光景に自分は似つかわしくない、と思ってしまう瞬間がある。


剛は、家に友達の男子達が遊びに来る度に、よくこう言われたのだ。



「なあ剛、お前の母ちゃんて若くね?」


「てか、可愛いよな~
いいよな~!」


「あんな母ちゃんなら、俺間違い犯すかも~
ハハハ~!」


「あ~そうだな、起こしに来たらそのまま押し倒すとか?」


「うっわ~たまんね――!」




それはいつもの軽口だったが、ある日、剛の中で突然黒い嫌悪が込み上げ、気が付けば同級生の胸ぐらを掴んでいた。



周りの同級生達は呆気に取られ口をポカンと開け、胸ぐらを掴まれた友達は蒼白になり唇を震わせていた。



「……じ、冗談だよっ……そんなに、怒るなって……」



剛は、我にかえり手を離したが、 自分の胸が早鐘を打ち、呼吸が荒くなっているのに今更気付き、愕然としたのだ。



(俺は、今何をして――?)
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