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愛しては、ならない
第12章 その花は、手折(たお)られて




「剛~今度はあれやろうよ!お面ライダーのテーマ!」


「またか?お前も好きだな……」



ピアノの前に祐樹と剛が並び、二人で遊びながら色んな旋律を奏で遊んでいた。


古典クラシックの定番曲からアニメソングに至るまで、祐樹は高音のパートをリズミックにダイナミックに弾き、剛は低音の伴奏を巧みに祐樹に合わせていた。



祖父の貴文(たかふみ)はそんな二人を微笑ましく見守り、ソファでくつろぎテレビを見ていたが、酔いが廻り微睡み舟を漕いでいる。


祖母の花野はキッチンで洗い物をしながら苦笑して二人に注意した。



「貴方たち、仲良しはいいけれど、ママが奥の部屋で寝てるからね?
時間ももう遅いし、ピアノはおしまいにしなさい」


「え~もうそんな時間?」


祐樹が、時計を見て口を尖らすと、剛は布で鍵盤を丁寧に拭き、蓋を閉めた。


「そうだ。お子様は寝る時間だぞ」



「え――僕が赤ん坊みたいな言い方しないでよ」



祐樹は少しむくれた。
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