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第12章 その花は、手折(たお)られて

悟志は、菊野の柔らかい指で愛撫され、堪らず妻を再びベッドへ倒し、乳房を円を描く様に揉みながら口付ける。



｢はあっ……あ｣



隠れていた剛は、菊野の甘い声が耳に届き、吸い寄せられる様に再び部屋の中を覗いた。



月明かりに照らされた菊野の髪は金色に輝き、白い肌は神々しい程に艶めいて、形の良い大きな乳房は菊野が身を捩る度に揺れ、腰回りの曲線は彫刻の様に美しい。



｢はあ……あっ……もっと……ああっ｣


悟志に突き上げられ甘く切ない声で啼く彼女は、とてつもなく綺麗で淫らだった。


｢あ……あああんっ｣


剛は、その鼓膜を蕩けさせる甘い叫びを聞くだけで狂いそうな程に欲情し、彼女の揺れる肢体を見ている内に、遂に堪えきれなくなり、ベルトを外しズボンを降ろし、猛った自分自身を握り締め小さく呻いた。


｢う……｣


掌の中で脈打つそれは、何故こんな事になっているのだろうか。


(菊野さんの……せいだ……そんな身体を見せて……そんな声を出して……)


剛は、猛りを握り締めたまま、欲のまま上下に動かし刺激を与える。


強烈な快感に声を出しそうになるが、ギリギリの所で耐える。


だが、荒い呼吸は廊下に響いている筈だった。