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第12章 その花は、手折(たお)られて

剛はベッドに倒れ込み、息を整えようと深呼吸する。


だが、当分動悸が収まりそうにない。

身体の熱も、引かない。

着ている物を全て脱ぎ捨てるが、目に飛び込んで来るのは腹の上にまだ屹立する、硬く大きく姿を変えた自分自身。



剛は、半ば自棄気味にそれを握り締め、上下に動かす。


途端に快感に支配され、先程見た菊野の身体を思い浮かべながら淫らな欲に耽る。



彼女の潤む瞳も、揺れる髪も、闇に浮かぶ白い肌も、甘い声も――



目に、耳に、胸に焼き付いてしまった。



そして、彼女を見て烈しくたぎったこの身体を慰めた快感を、忘れられそうにない。



あの部屋で、菊野は今頃どうしているのだろうか。

無邪気な少女の顔で眠りに落ちているだろうか。

それとも、また悟志に攻められ、ベッドを揺らして啼いているのだろうか――