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愛しては、ならない
第20章 恋の業火②



彼が唇を離した時、私は渾身の力を込めビンタしようと手を振り上げるが、直ぐ様その手を掴まれてしまった。

彼の方が力が強い為、私はもうそれ以上の抵抗が出来ずに、また唇を奪われる。



彼の舌が私の舌を追い掛ける様に絡み付き、吸ったり咥内をはい回る音が部屋に響く。



まともな思考が飛んでしまいそうになるまで、幾度となく彼に唇を犯された。



どれ程の時間、そうしていただろうか。



剛は、頬を両の掌で挟み、呆然とする私の目を見詰め言った。



「……俺の部屋には、もう来ない方がいい……」



「……な……何故?」


「こういう事になるからですよ……」



剛の手が素早く私のシャツの中へと侵入し、ブラのホックを外してしまった。



「やっ……やだっ!
止めて……っ」


「さっきも言ったでしょう……
俺は貴女を抱きたくて身体が疼いたままだって……」


「だ、ダメ……!」



このまま流されて、彼と堕ちてしまったらいけない――


私は必死に彼に懇願する。


「お……お願いっ……
待って……」



剛は、意地悪な笑みを浮かべながら、ブラをゆっくりと押し上げていく。


「待ったら、その後で抱かれてくれるんですか?」



「……っ」



私が目に涙を溢れさせると、彼は真顔になり手を止め、溜め息を吐いた。


「……菊野さんは……悪魔ですね……
そんな顔で泣かれたら、俺は何も出来ません……」


「……あ……悪魔とかひどっ……」


しゃくり上げると、彼の腕が私を優しく包んだ。


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