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愛しては、ならない
第21章 君の罪は、僕の罪




「悟志さん――!
悟志さんっ!」




私の絶叫にただならぬ物を察したのか、剛がドアを開け入ってきたが、目の前の光景に言葉を失い立ち尽くした。


私は、悟志を抱き起こし、剛に言う。




「救急車……
救急車を――!」



剛は、青ざめながら頷くとリビングに走っていく。



「悟志さん……悟志さん…しっかりして……っ」



流れる涙が血で濡れた彼の頬に落ちた時、その瞼が僅かに開き、この場面に似つかわしくない、そして今まで見た中で最も優しい笑みを私に見せた。


だが、それは刹那の出来事だった。


再び瞼が閉じ、悟志の頬はみるみる間に生気を失って行った。




「悟志さん……っ」




呼び掛けても彼の唇は動かない。
握りしめたその逞しい手には、力の欠片も感じられない。



私は、彼の胸に顔を埋め叫ぶ。




「やだ……
嫌……いやあっ……
こんなの嫌――っ!」





遠くから聞こえる、途切れ途切れに響くサイレンが、やがて途切れた――


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