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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情



「なあ、それってどういう意味だよ」


彼は、顔を近付けて来て私を真っ直ぐに見る。


「やっ……
は、離してっ」



「菊野ちゃんさあ、俺と付き合う気があんの、ないの?
ハッキリ言わないなら、分かんないぜ」


彼は、大きな掌で私の顎を掴み、顔を近付けて来る。


呼吸がかかる程の距離に彼の顔が、唇があって私は怖くて何も言えず、思わず目を瞑ってしまった。


すると、手を掴んでいたゴツゴツした感触が忽然と消え、恐る恐る瞼を開けると、彼の肩を見知らぬ大人の男性が掴んでいた。



男性は、私の父よりも少し若い程の年齢に見えるが、もっと若いのかも知れない。


シャンとした背筋、こざっぱりと短いスポーツ狩りに、整った男らしい眉。
彼に負けない程の体格と背の高さだ。

黒いスーツ、黒いネクタイだが、堅苦しくなくラフに着こなしている印象だった。


「……君、嫌がる女の子に無理強いしたらダメじゃないか」


男性が、にこやかに彼に言う。


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