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第24章 滅ぼせない恋情③

だが、私は彼に迷惑を掛けてしまった事を謝らなくてはならない。

私が倒れたせいで剛は新入生代表の挨拶をほっぽって、彼に押し付ける形になってしまったのだから……



私が目で彼に訴えると、通じたのか、彼は掌を離してくれた。


｢すいません……
大きな声を出されたら、僕が菊野さんを襲ってるみたいに見えてしまいますし……
そんな事になったら、剛に殺されちゃいます｣


柔らかく魅力的に笑う森本に、私はへどもどしながら首を振り、笑った。



｢や、やだあ……
こんなオバサンを襲うだとか、思われる訳ないじゃない！｣



森本は目を丸くして、真顔になる。


｢ありますよ｣


｢えっ？｣


｢菊野さんは可愛いですから、俺が襲いかかりたくなる事も、あるかも知れませんよ｣


｢…………っ！？｣


私は、口をあんぐり開けて彼を見詰めた。