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愛しては、ならない
第25章 離したくない

今、身を乗り出して眉を寄せ、唇を突きだして睨み付けてくる菊野を、俺はいとおしい気持ちを募らせて見詰めていた。


可愛くて、今すぐにでもその唇を奪ってしまいたい。


そんな事を考えているとは知らない彼女は、更に顔を近付けて拗ねるような、甘えるような声で呟く。


「なによう~‼一生懸命睨んでいるのに、全然怖がってくれない……悔しい」


「ああ、やっぱり睨んでいるつもりでした?」


「……んもうっ‼
少しは怖がってよ‼」


子供が駄々をこねる様に、彼女は身体を揺する。

俺はやはり笑うのを我慢できずに吹き出してしまった。



「ああーー‼
笑った‼しかも爆笑するなんて酷いーー」


菊野は指を指して叫びむきになる。



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