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愛しては、ならない
第26章 離したくない ②



剛は、手を取ったまま、狂おしく輝く瞳で私を捉えて離さない。

逸らせない私の目から、熱い涙が溢れ、唇も震える。

――好き……好き……貴方が……


剛の目が、大きく見開かれた。


「菊野さん……今、なんて……?」



「……っ!?」


今、私は、口に出してしまったのだろうか?

剛のぎらついていた瞳はいつしか優しい光を帯びて、潤んでいた。

頬は小さな子供のように薔薇色に染まり、唇は笑うように端が上がる。


「……ち……違っ」


弁解しようとしても、彼にきつく抱き締められ、その腕が震えるのを見た私は、もう何も言えなくなる。


肩先に顔を埋め、剛は私の髪をかき抱きながら呟いた。


「菊野さん……っ……
本当に……俺を……?」


「っ……!」



心臓が、大きく跳ねて暴れだした。


――言ってしまった……
とうとう、私は……
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