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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない


祐樹と母が賑やかに何か言い合いながら、ケーキ作りをする光景が浮かび、思わず頬が緩む。

結婚しても、事あるごとに手助けや、励ましをくれる優しい頼れる母、

いつも私の心配をしながら然り気無く気遣いをしてくれる祐樹は、そこに居るだけで天真爛漫な明るいオーラを発し、家の中を明るくしてくれる。

悟志だって、良き夫で良き父親だ。

私は、本当に恵まれているのだ。

なのに――

思わず、メモを掌で強く握り締める。



私は、悟志が病院で無意識の中でさ迷っている間、母と祐樹が私を元気付けようとケーキを焼いてくれている間、恋に溺れて――

何度も何度も、彼によって絶頂を味わって――



「……私……最低だ」


 
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