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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない
一日振りの病院は、いつも通り沢山の患者と見舞いの人で溢れていた。
「西本さん、こんにちは」
「こっ!!こんにちは……」
すっかり顔見知りになった守衛のおじさんに声を掛けられ、ぼうっとしていた私はビックリして大きな声を出してしまった。
「ありゃ、元気な返事だねえ」
「す……すいません」
「ん~?
……でもなんか、顔色が良くないようだねえ。
あなたが倒れてしまったら元も子もないよ?」
「は、はい……ご心配ありがとうございます」
「ああ、そう言えばさっき他にも見舞いが来たよ。
まだいるんじゃないかね?
ほら、あの髪の毛がサラッサラで美人の」
真歩だわ、と直感した私はおじさんにお辞儀をし、悟志の個室のある病棟に続く廊下を歩く。