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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない


寝室に響くのは、ベッドの軋みなのか、私の叫びなのかも分からない。

沈み込ませた猛りを剛は休みなく奥に突き進ませながら、片手では乳房を揉みあげる。

彼の揺れる髪が、時折歪む眉が、律動と共に上下する喉仏が、私の今見える世界だった。

何も考えられない。

明日の事も、悟志の事も、真歩の事も……

彼に突き上げられて、掻き回されて、口付けられて――

狂ったままでいたかった。

いっその事このまま……彼を感じながら――私――



「つ――っ」


「!?」


不意に彼がうめき声を上げ動きを止め、私の胸元に赤い温かな液体が落ちる。


彼が顔をしかめながら右腕を左手で押さえるが、鮮やかな血がその指を伝うのを見て、私は自分がしようとしたことを思い出す。


――舌を、噛もうとしたのだ。

それを剛が止めた……

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