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愛しては、ならない
第32章 企み②


股間を両手で押さえ転がる彼からなるべく遠くへ逃げようとするが、恐怖に腰が抜けて這うことしか出来ない。

力の入らない腕を交互に動かして、リビングの中央まで動き、ソファに掴まり、身体を起こそうと足に意識を集中するが、へなへなと崩れてしまい、

ソファの背を抱き締める体勢でどうにか座る格好でいるので精一杯だった。

彼は、フワフワの前髪の中から鋭い瞳を向け、踞ったままで呟いた。



「……大人しそうで……強引にすれば……押しに負けてすぐにヤらせてくれるかと思ったのになあ……」


「なっ……!」


彼の言い様にカッと怒りがこみ上げる。


彼は悪びれる様子もなく、痛みに顔をしかめたまま微かに笑った。


「だってさ……剛にはヤらせてるんだろ?」


「――!」
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