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愛しては、ならない
第32章 企み②

「え……えっとね……彼は」


なんと言ったら良いのか考えあぐねていたら、真歩はプーっと吹き出して、いきなり森本の背中をバーンと叩き、屈託なく笑って言った。


「あっははは!も~っ菊野もやるじゃないの~!

悟志さんの留守にこんな美少年連れ込んで!

ま~。悟志さんがかなり年上だから~若い子のエキスを吸いたくなるのは分からないでもないけどさ~

高校生相手はちょっちまずくない?

……な~んてね!」


祐樹は呆れて頭を抱え、森本は曖昧に笑ったが、夕方5時の時報が外で鳴ったのが幸いだとでも言うように腰を上げ、


「どうもお騒がせしました……

また改めてお詫びに伺います……

今日はこれで……失礼します」


と言い、お手本の様に綺麗なお辞儀をした。


彼がドアを開けてチラリとこちらを見た時、その瞳の中の暗い色と口元の歪みが私を不安にさせた。




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