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愛しては、ならない
第34章 恋の短夜(みじかよ)


「……綺麗だ」


唇を離して、荒い息を吐き出しながら思わず呟くと、彼女はあっと驚いた顔をして腕で裸の胸を隠す。

彼女のブラウスとブラジャーは、腰の位置まで落ちていた。

軽く俺を睨み、頬を真っ赤に染めて恨めしそうに呟く。



「……私が……先に剛さんを脱がすつもりだったのに……」


思わぬ言葉に、思わず聞き返す。


「え?……今なんて」


「だ……だから……っ」


口ごもり、ますます赤くなる彼女は、ふと何かを決心した様に口を結ぶと、突然俺のベルトに手を掛けて、外し始めた。



「き……菊野さん」


狼狽えたような情けない声が自分の口から出てしまい、俺は舌打ちしたくなる。

今夜は彼女をとことん征服してやるつもりでいたのに、これでは立場が逆転してしまうじゃないか――


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