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第34章 恋の短夜(みじかよ）

間違った事を口にしたのだろうか。

菊野の表情の変化に、ふと背中に冷たい感覚が走り抜けるが、彼女の腰が俺を打ち付ける動きを始め、戸惑いの感情は何処かへ追いやられ、強烈な情欲にとって変わった。

彼女は快感に悶える俺の顔を見詰め、細腰を下から突き上げる。



「う……っ……はっ……菊野……っ」


話を最後まで聞いてくれ、と言おうとするも、巧みに俺を昇りへと導く彼女の腰使いと、締められる快感にうち震え、喋れない。

襲い来る熱い波に拐われぬように暫し動かずに耐えていたが、彼女の動きを制止する事が出来ずにいた。



「菊野……俺は……はっ……う!」


何とか頭の中の思考を拾い集め言葉にしようとした時、彼女の腰の動きが速くなり、下半身に一気に身体中の熱が集まる。

あまりの快感に、何も考えられなくなりそうで、瞼をぎゅっと閉じるが、俺の下で喘ぐ彼女の艶声に、その姿を見ずには居られなくなり、また瞼を開け、目の前の彼女の美しさと淫らさに息を呑んだ。