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愛しては、ならない
第34章 恋の短夜(みじかよ)


「……菊野……俺は」


――もし、悟志さんが回復しなかったとしたら、俺が貴女を支える――


そう言いたくて口を開くと、彼女の瞳が強い光を帯び、俺にしがみつき唇を塞いできた。



「……ふ……っ……っ」


「……んん……ん」


噛みつくキス、と言うのはこんな風なのだろうか、と頭の隅の僅かに残る理性で考える。

息を漏らす暇もない程に、菊野は唇と舌を駆使して俺の中を掻き回す。

キスをしながら彼女は腰を再び俺に打ち付け始め、小さな柔らかい指で胸の突起を摘まんで愛撫してくる。

敏感な箇所を同時に責められて、今度という今度は本当に、正気を失いそうだった。

身も心も焦がれている女に、ベッドで積極的に身体を愛され、平静で居られる方がおかしい。

今、こうして貴女に甘く烈しく愛されているのに、正気で居られるわけがない。






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