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愛しては、ならない
第37章 愛憎②



気管が狭まる感覚と、ヒューヒューと鳴る喉。

苦しくて肩で息をする私は、俯せになりソファの背にしがみつくしかなかった。

うなじに規則的な間隔で彼の呼吸が当り、背中に暖かい物を感じた。

いつの間にか彼が背中を擦ってくれていたのだ。



「……げほ……こほっ……」



彼の大きな掌が口を覆ってくる。

反射的に私は身を捩るが、彼に抱き締められ、動けない。



「動かないで……そのまま息をして下さい……」


「こほっ……ん……けほっ……」



彼の掌があてられたままの状態で、私は必死で呼吸をする。

落ち着いた優しい口調で彼が語りかけてきた。



「そう……ゆっくり、急がないで、ゆっくり息をして……」


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