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呟きたい
第19章 夏企画~単発~
「この後に俺ですか……」

「頑張ってね、瑞希」

「まともに怪談したのは類沢だけだがな」

「えっと、これは俺の祖母から聞いた話です。祖母の村には昔からある慣習がありまして」

「慣習ネタはヤバいんだよねー。怖いかも」

「俺はめちゃくちゃ怖かったですけど。その村では御神体があって、女性は十四になると巫女の衣装でその年の対象となる人たち全員が集まって、御神体の前で一晩過ごすんです。親や友人も入れない聖域となって。その晩の間にあったことは絶対に他言してはならないと決め事があるんですけど、村から出た祖母はそれを打ち明けてくれたんです。白い衣装の少女が八人。神社の本堂で、薄暗い中御神体を中心に半円を描いて黙祷から始まったと」

「雰囲気あるね」

「そしたら鐘の音が鳴り響いて、ある子が様子を見に行ったんですね。その日は彼女たち以外敷地内に立ち入り禁止でしたから、誰かが悪戯でもしているんじゃないかって。でもその子が行ってから十分後、また鐘が鳴ったんです。カーンって。祖母はその少女と仲が良かったから、心配になって本殿を出ようとしたんです。でも何故か引き戸に近づいた途端ガタガタ揺れ始めて……立ってられないほどに。後ろを見ると、六人の少女は揺れなんてないかのように座ってひたすらお経を唱え始めたんです。今まで雑談していたのに、突然。息する間もなく。誰一人乱れず。まるで一つの声のように。お経を」

「すごいすごい。ちょっと面白いねー」

「恐がるな。空斗」
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