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呟きたい
第24章 姿勢①

「だったらなんで書くの」

「半分怒りながら彼女に言われた。誰かを不快にさせる文なんてなんで書くのって」

「それが正しいって信じてるから、かなぁ」

「場によるよ、そりゃね。姉妹サイトを退会したのはそれが理由だ。意見を言ってもここはそういう場所だって片付けられるし相手は年下ばかり」

「なら官能小説と銘を打つここは? 大人を対称にしたここは?」

「正直なんら変わりない」

「ケータイ小説も官能小説も携帯で読める時点で同じと見なされている。サイト名に効力があるのは一週間。すぐに解釈は使い手に委ねられ、意味はそれぞれが飲み込む」

「怖いね、早すぎて」

「変化が」

「レビューについては語りたくないけどさ、とうとうマナーなんて掃き捨てられた掲示板になってきやがった……」

「口が過ぎるね」

「失敬。見るに耐えない、が良いかな」

「感嘆詞感嘆詞感嘆詞感嘆詞感嘆詞感嘆詞……感嘆詞の羅列。作品のレビューだってのに伝わってくるものは読者の色だけ」

「文字すら幼稚な玩具のよう」

「レビューで作品が完成する。私の師がそんなことを仰っていた」

「インクの線を繋げるのは読者だ。作者一人ではまだ文字が頭のなかで波打っているだけ。それを読み手が掬い上げることで初めて作品になる。その仕上げがレビューだと」

「あとがきでは不充分。読み手の解釈があって初めて……だから書店に並ぶ作品の帯に試行錯誤する。実際レビューを見て手に取る機会はありふれている」

「レビューに左右されるから作者は堪ったものじゃない。情報を誤って流されたら……あはは。やなこと思い出すね全く」

「前に個人サイトを閉鎖されたことがあってね。だからレビューに敏感なんだろうね」
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