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呟きたい
第40章 ホストについて⑤

「実際さ」

「うん?」

「スーツで歩くホストってあまり見かけないよね」

「まあ、スーツの質によってはホストに見えないしな。いきなり来て何の話かと思った」

「ん。春哉は落ち着くね」

「あ? またキスしたいのか?」

「ふっ。今はそんな不満ないけど」

「懐かしいなあ。お前がキステク教えろとか大真面目に言ってきたのが」

「黒歴史だね」

「はははっ」

「本当に懐かしい」

「俺だって男に教えるなんて思いもしなかったがな」

「春哉がまだホストだったら僕は絶対敵わないだろうね」

「なんだいきなり」

「たまに考えるんだ」

「そうだなあ……オペラならありうるかもしれないぞ」

「……そうだね」

「なんか本当に雑談になってるな」

「良いんじゃないの。ホストについて語ってはいるんだし」

「そうか」

「春哉と二人暮らしのときはこうやってよく話してたね。今は店の上のバーになってるけど」

「二人暮らしというか、お前が居候していた時な」

「うちに住めばいいって言ったのは春哉の方じゃなかったっけ?」

「そうだったがな」

「ベッドもわざわざ大きくして」

「買いたかったキングサイズがあっただけだ」

「まさか今僕と瑞希が住むことになるなんて思わなかった?」

「少なくとも女ではないだろうという予想は当たったけどな」

「ははは。想像できないね」

「想像できないな」

「……今までは」

「……ああ」
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