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ここで待ってるから。
第9章 嘘と、好きと嫌い
「うーん。体調、悪過ぎ。」

 朝から頭痛と腹痛のダブルに青い顔して、パソコンに向かう。まぁ、早く言えば重い生理痛に悶えている。
 沙矢子が心配そうに私を見ている。

「大丈夫?顔色悪過ぎ…冷や汗出てるじゃないの。」

 リーダーの静音さんが冷たいタオルとお茶を持ってきてくれた。

「とりあえず来週まで、そんなに忙しくないから帰りなさい。生理休暇もあるんだから。」

「と、とりあえず沖田君に引き継ぎ書類用意して、明日は休みます。」

 腰も重く、久々の痛みに耐える。
 静音さんは沖田君と沙矢子に指示を出し、午後と明日の段取りを整える。

「じゃあ、午後には帰りなさい。一人で帰れる?」

「…はい。ダメそうならタクシー使います…すみません。」

「無理は禁物。明日、休んで構わないからゆっくりしてね。なんかあったら、連絡頂戴。」

 静音さんは私の肩をポンと叩く。
 本当に頼もしいリーダー。本当に申し訳ないです。
 とりあえず、午前中は頑張ろう…。
 パソコンに向かい、中断していたグラフ作りに専念する。
 


「…駄目だなぁ…。」

 昼休みになり、トイレに駆け込む。
 少し貧血気味になり、そのまま便座に座る。お腹を抱えながら、ケータイをいじる。

『今日、早退する。夕飯は自分でお願い。』

 用件だけ入れ、夏に送る。
 すると、昼休み女子たちがトイレに数人入ってきて化粧直しをしだす。

「…ねえ、深山さん、専務の娘さんとお見合いするって聞いた?」

「聞いた聞いた。だんだん、この会社のイケメンが消えていくわ。」

「えー、でもまだする段階だから。確定じゃないでしょ?」

「でも、出世したいならありでしょう?深山さんは上に行きたい人間なんだから、手段は選ばないんじゃない?」

 …そうなんだ。お見合い、するのか…。

 あれ、意外と冷静に受け止めてる自分がいる。
 あまりにも辛い腹痛のせいかもしれない。
 
 ケータイにメールが届く。夏からだった。

『大丈夫?具合、悪いの?』

 メールを返そうとしたと同時に着信。それは、涼介だった。
 今は何も話す気になれず、そのまま放置する。
 ガヤガヤしていた外も静かになったので、そっと個室を出る。
 軽い目眩を起こしながら、廊下を歩き会社を後にする。ビルの裏手にまわり、しゃがみこむ。
 


 






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