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ここで待ってるから。
第2章 恋人かセフレか。
 朝起きると、ケータイに涼介からメールが一件。
 昨夜の後ろめたさから、なかなか開けられない。
 とりあえず、キッチンに行きコーヒーメーカーに二人分の豆をセットする。

「おはようございます。」

 夏が起きてくる。

「おはよう。コーヒー飲む?」

「あ、はい。いただきます。」

 二人掛けのテーブルに向かい合わせに座る。夏は頰杖をついて、私をじっと見る。見つめられて、昨夜の情事を思い出す。
 顔が赤くなるのがわかる。

「今日は一日何するの?明日から仕事でしょう?」

 目をそらし、会話でごまかしてみる。

「うん。とりあえず、買い物。橙子さんは?」

「うーん。この天気を逃すと洗濯もの溜まりそうだし、来週の土日は用事が…。」

 ケータイに着信。涼介からだ。

「出ないの?」

 夏に促されて、しかたなく出る。

「…もしもし。」

『おはよう。メール見た?』

「見てない。何?」

 コーヒーが出来上がり、ケータイを耳に当てながらマグカップに注ぐ。

『明後日の出発の出張がズレて、木曜日から二泊三日になった。土曜日に帰るから、土日の旅行は延期だ。その代わり、今から出かけないか?』

「…そう。ん?今から?」

 珍しく涼介から来週の土日に一泊旅行に誘われていたが、いつものドタキャン。まぁ、今更どうでもいいかな。

「何?フルコースでも用意してくれるの?」

 入れたコーヒーを夏に渡す。コーヒーにミルクを入れかき混ぜ、一口啜る。

『うん、まあ、そんなところだ。すまない…急に。』

「ううん。大丈夫。」

『そっちに迎えに行く。また、出るときメールするから。』

「…じゃあ。」

 ケータイを切り、メールは開けず削除する。
 夏は静かにコーヒーを飲む。その仕草がきれいで見惚れる。長い指がカップを覆い、形の良い唇がコーヒーに触れる。

「…彼氏?」

「そう。来週、旅行に行く予定がドタキャン。今から出かけるわ。」

「ふーん。じゃあ、洗濯物しといてあげるよ。」

「え、いいの?助かる。とりあえず、用意しなきゃいけないから…。」

 カップを流しに置き、部屋に行く。
 

 
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