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セルフヌード
第5章 少女と被虐



「ただいま」

「お帰り」

「元気そうじゃないか。写真展、最終日だろ。主役が行かなくてどうする」

「いつ主役になったの……」

「美優の写真、人だかり出来てたぞ。俺も嶋入さんとはちょっとしか話せなかったけど、美優に謝っておいてくれってさ。良いのにな。美優、元々名前出さないの前提で受けたんだし」

「うん、……」

「始まった頃は毎日行ってたのに、気疲れか?」

「そんなこと、ないよ」


 美優は良にまといつく。

 留守番を務め上げたペットのように腕を絡めて、優しい重みを含んだ口づけに酔いながら、弾力ある肉体を指でなぞる。


 ちゅ……ちゅ。……


「お昼どうする?」

「ん、……材料、あったっけ」

「食いに行くか」

「昼時はずらした方が良いかも、……」


 やっぱり疲れてるんじゃないか。


 美優の身体をやおら離して、良が笑った。





 地下鉄線で移動して、良が同僚に教えてもらったという創作料理屋で昼餉をとった。

 店は案の定騒がしかった。

 騒がしい中でも、良の明るい笑い声と、個人経営店ならではのまごころこもった献立に、美優は幸せを噛みしめた。



 誰にも咎められないキスに、肌に馴染んだ体温、そうして果てないような時間を共有出来る人と、何でもない休日を過ごす。


 こうも贅沢なことはない。



 帰りにショッピングモールに寄って、日用品売り場を歩いて回った。

 はしたなくじゃれ合うカップル達を美優が咎めると、良が悪戯に彼らに倣った。
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