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セルフヌード
第5章 少女と被虐







 引き明けの朝の匂いが美優にささめき、恋人の視線をふと感じた。


 起きて一番に、大好きな顔を早く見たい。一番におはようと言いたい。


 思うのとは裏腹、なつみの視線にもうしばらく包まれたくて、美優は眠った振りを続ける。



「美優」

 額にかかった美優の髪が、掬われた。

「ごめんね」

 黒髪が、指と指からこぼれていった。

「ごめんね、美優」

 昨夜のスマートフォンの件が浮かんだ。

 謝るくらいなら撮らなければ良いのに。

 美優の股が自ずとすり合う。


「何で、君みたいな人がいるの……」


 得も言われぬ声音を連れた指先が、美優の頰の上を彷徨う。


「もう少しだけ」



 側に。もう少しだけ。…………



 美人が寂しがり屋だと、聞いたこともない。
 仕事に行けば、美優のことなどどうせ頭の隅にも置かないくせに。



 毎日、こんな朝を迎えられれば良いと思った。
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