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セルフヌード
第5章 少女と被虐

* * * * * * *

 五月も中旬を過ぎたある晴れの昼下がり。


 更新頻度もすっかり持ち直した美優のブログをチェックして、彼女にメールを送ったところで、総子が訪ってきた。


 本人が干物でなければさぞ女好きしようかんばせに、優美な風格を淑やかに華やがせるワンピース──…のべつカメラかペンを抱えている腕には、珍しく猫が抱かれてあった。飼い主に似てどこか泰然自若とした感じのある、白い毛長の血統書つきだ。



「やっと病院の予約がとれたの。これで予防接種も終わり。可哀相なことしちゃったけどね」

「総子さんに構ってもらえて幸せそうです」

「心にもないこと」

「私は、猫じゃないですし」


 なつみは総子と腕に抱かれた愛くるしいものを横目に、湯飲みを傾けていた。


 穏やかな午後の時間に、玄米茶の奥深さが染み透る。



「この間の話、考えてくれた?」

「──……」



 総子が美優にお節介を焼いた、二日前ほどのことになるか。

 写真展の最終日の夜だった。


 総子はなつみに取材の仕事を持ちかけた。


 ライターとしての彼女は、政治分野でも華々しい活躍ぶりだ。

 総子が今度の記事に選んだのは、ある政治家の表と裏だ。
 国内はもとより海外でも慈善家として認知度の高いかの男は、今度、西洋の小国でシンポジウムに出席する。
 総子は表向き地方支部分部局の役員の活動を伝え、その一方で、彼の知られざる顔を探り出すという。福祉に積極的な役員は、汚職とパワーハラスメントを繰り返し、海外でも身寄りのない子供を保護する片や、人身売買に関与しているという。
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