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セルフヌード
第1章 秘密の快楽
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「乙女に土下座させる趣味はない。お金は足りてる」
「そう、でしょうね」
貴女ほどの美人なら、と、口癖がまたぞろ口をつきかけた。
「デートしてよ」
「私なんか連れ歩かなくても、嶋入さんは目立ってる」
「違うよ」
「毛色の変わった人間として、誘ってるの?」
「女性として」
「良人がいるの」
「私そういうこまかいこと気にしない」
「っ……貴女が気にしなくてもっ」
シャッター音が割り込んできた。
美優を捕まえていた片腕が、いつの間にやらほどけていた。
なつみの片手がピンク色のスマートフォンを握っていた。
「今の消して」
「ばら撒かないよ。私も写ってるし」
「消して」
「エロい趣味、バラされたくないんでしょ」
美優は頷く。
上体に自由が戻った。なつみのスマートフォンは、彼女のバッグに仕舞われていた。
「黙っているからデートして。写メも消す」
「貴女、レズビアンなの?!」
「それがどうかした?」
「っ……」
良人がいるのだ。美優には、たった一つの愛がある。…………
美優はデートを承諾した。
良とデートするはずだった、土曜日。明日。
さもなくば全て壊されてしまう。
カメラマンを生業としているなつみが、アバンギャルドな少女をモチーフとした写真集『少女crater』の制作者だと知ったのは、帰宅して数時間後の半宵のことだ。
第1章 秘密の快楽─完─
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