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セルフヌード
第8章 *最終章*セルフヌード



「綺麗だからって何でも許されるなんて大間違い……いつも、なつみは酷いよ。なつみの所為で、私もう誰も愛せなかった……誰も信じたくなかった。一人にしないでって言ったのに……」


 追いかける隙も与えないで、美優の側を立ち去った。


「良くんなんかどうでも良い。身勝手なこといっぱいされて、私はそれ以上に傷つけた。……咲希だって、なつみが私にあんなこと言ったから、…──ほんとに良くんじゃなくて、なつみがこの子の親だったら少しは愛してあげられるかもって……お母さん失格のこと考える度、あの時のなつみの言葉を思い起こして、でも……」


 現実の貴女は世界のどこからも消えていた。


「苦しかったの、怖かったよ。辛かった。なつみは私の幸せなんて分かってない。じゃなかったらあの人にあんなこと言い残して行ったりしない。どうせ仕返しだったんでしょ、初めて会った時だって、私なつみに酷いことばかり言って……わがままばかり言っ──……」


 聞き分けのない子供のようにぐずる美優を、狂おしいまで焦がれた温度が捕まえた。


「っっ…………」

「ごめん、美優」


 二度と感じることも諦めていた、なつみの匂いだ。


 仄かなブーケのフレグランスに、たわやかな腕、清らな心音をくるんだまろみ──…。
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