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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
「毎度! また来てね」
 薫子は明るい声音で叫び、母親に手を引かれて帰ってゆく少女に手を振った。
「いらっしゃい―」
 次の客を迎えるために愛想の良い声を出した薫子は息を呑んだ。承平が立っている。今日も出逢ったときと同じように質素ななりだ。小袖に丈短な袴をはいている。
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