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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
「何だと?」
 承平の漆黒の瞳に何故か、傷ついたような光が浮かんでいた。勝手なことを言っているのは彼の方なのに、薫子は自分が彼を虐めているような気分になってきて落ち着かない。
「だから、逃げてきた。あのまま実家にいたら、首に縄をかけて連れていかれそうだったもの」
 承平はしばらく無言で立ち尽くしていた。
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