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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 右手を握り拳にして掲げ力説する薫子を見て、承平が吹き出した。
「そなたは、やはり面白き女だな」
 それがきっかけで、二人の間に漂っていた不穏な空気はなくなった。
「あら、笑い事じゃないわよ。承平さんは他人事だと思うから、悠長に笑っていられるかもしれないけど」
「俺にとっても他人事じゃないよ」
 承平は意味不明のことを言う。
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