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私は犬
第3章 【第1章】帰国
「嫌よ!嫌!絶対に駄目っ!」と大きく頭(かぶり)を振りながら、ふり絞るように大きな声をあげられた


どうしましょう…。こういう時に何と口にするべきか。学校では教わらなかったし、どなたも教えて下さらなかった。困ったわ……。



途方にくれていると、カチャリと扉の開く音がして、目を向けると孝徳さんが少し驚いたような顔をして立っていた


「ノックもせずに申し訳ない。母の声が聞こえたんだが…。」


少し大きなお声だったから、きっと扉の外まで聞こえてしまったのね。


そんな事を考えている間に、孝徳さんはおば様の横、私の斜め前に静かに腰を下ろす



ここは、孝徳さんに事情をお話ししておくべきかもしれないわ


そう判断して、経緯を簡単に説明すると


「まぁ、それが一般的でしょう。」と、私の意見に賛同くださった



良かったわ。私間違えてなかったみたい。そう安心していると


「駄目ったら駄目ったら駄目ーっ!」と、おば様が仰られた。先ほどよりだいぶ大きなお声で……。




その後、あーでもない。こーでもないと、おば様と孝徳さんが目の前で論じるのを、口を挟んではいけない気がして黙って見守ることにした
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