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私は犬
第16章 人並みになりたい*
「そういう事になります。」

「貴方が国王ね?精神的と仰るからには、物質面には関与しないと。そう認識しても構いませんこと?」

「いいでしょう。こちらからの要望は、それ1つで構いませんよ。」

国王と国民ね。政権交代したい時はクーデターを起こせばいいわけね。提示事項は3対1だし。妥当かもしれないわ。

「了承しますわ。念のために略式でも書面に。今週末迄には、ご用意可能ですわ。その上で、金曜日の夜に改めて正式な契約という事でよろしくて?」

わざわざ弁護士を介入させるまでもないわ。第3者にはあまり知られたくない内容だもの。

「いいでしょう。では、仮ではありますが、契約を祝して。改めて場所を変えて、祝盃などいかがですか?」

「私、さっきまで頂いていた、その壺のお酒で構わなくてよ。」

「…………。もう入っていないので。」

そう言って、音羽さんの手で傾けられた壺の中身は、すっかり、綺麗に空だった…。

もうっ!何でもう無いのよっ!信じられないっ!





移動のエレベーターの中で、ふと思った。これってセフレみたいだわって。だから聞いてみた。

「この契約内容って、セフレみたいよね?」

「……まぁ、私はそれでも…とりあえずは、構いませんが………。」

あら。音羽さんもセフレだって認めるのね。剛ちゃんにバレたら大変だわ…。きっと怒られる…。内緒にしなきゃ。
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