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私は犬
第26章 大切なこと*
目が覚めると、厚手のタオルケットを掛けられて、薄墨色のバスローブを着たままソファーに寝かされていた。

頭がボーッとして身体中がだるくて、背中と肩と股関節が少し軋む…。

見回すと有史さんが居ない。キッチンにも居ない…。姿を探して、寝室を覗くと何事も無かったかのように綺麗に整っていて、さっき迄の事が夢のように感じられた。

書斎の扉の向こうから有史さんの話し声がする。電話しているみたい。

「………さっきからそう言ってんだろ。しつけーな。………………そうしろよ。…………だから、お前じゃチンコ勃たねぇんだって。………そんなん知るかっ。」

んっと…。これ何の電話?相手はどなた…?チンコって……。電話の相手の方と、セックスしてたって事?少なくとも、そういう関係だったって事よね?これは…。聞いてはいけない内容だ。そう判断してリビングに引き返した。

有史さんの腕にぶら下がる、あの華やかな女性達が、脳裏にちらついて仕方ない…。セフレの3文字が頭から離れない。

やっぱり他にも居るんだ。私としてるような事、その人達ともしてるんだ。分かってた筈なのに。胸が苦しい…。

あんな事をされてとても苦しくて嫌だった。けれど…。
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