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私は犬
第28章 アメリアの夢
ん?何で通話しながらしゃがむの?しゃがんで、こっち見ながら首を横に傾げて、一体何をしているの?私、1人じゃ電車に乗れないんだからっ。ここで動かないで待っててあげるから、早くして。

軽く5分は待たされたと思う。やっと通話を終えた有史さんが、階段を昇って隣にやってきた。

「待たせたな。いい眺めだった。お前、すげえの着けてんな。」

ニヤニヤしながら何が言いたいんだろう?さっぱり分からない。

「何も凄くないですよ。一体、何が言いたいんですか?」

「いや、別に…。」

まだニヤニヤしてる…。何よこれ。

「ほら、行くぞ。迷子になんなよ。」

私が迷子にならないように、有史さんが隣にいるんでしょ?違うの?

階段を昇りきると、また有史さんが居ない。後ろを振り返ると、踊り場で立ち止まったまま、こちらをジッと見ていた。

「主任、何してるんですか?ふざけてないで、ちゃんと歩いてください。電車来ちゃいますよ。」

ニヤニヤしながらこっち見んなっ!

「なぁ、昼飯、何食う?」

「何でも良いです。主任の食べたい物にお付き合いします。一応、仕事中は部下ですから。」

「ふーん…。」

ほらまた、ふーんって言った。
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