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私は犬
第29章 諦めろ*
有史さんは、赤い縄の束を手に、クローゼットから出て来ると、脚を抱えて横たわる私の隣に座った。

「そのまま手で足首持て。動くなよ。」

手首と足首をまとめて、ぐるぐる縛られた。手足を縛る縄が緩まないようにと、縄の隙間に閂(かんぬき)の縄が入れられる。

有史さんは、残った縄で、お肉屋さんで紐に縛られたハムみたいに、両腕と膝下をまとめて縛った。

足首側から膝に向けて、赤い縄を器用に巻き付けながら縛りあげていく。左右の足が縛られ、開脚以外の動きが封じられた。最後に、首に縄の首輪が掛けられた。まるで犬みたい…。

「足開いてろよ。いいな。返事は?」

「…はい。」

嫌だと言ったら、酷い事をされてしまうかもしれない。従う以外に、何が出来るというのだろう…。

有史さんは、クリトリスを爪先で弾くようにして勃たせると、ズリッと包皮を剥いて根元を刺繍糸で、包皮を固定するように縛りあげた。今日の糸はいつもより長い…。

「思い切り下向け。そうだ。顎が胸に着く位、前に首曲げろ。」

言われた通りにすると、身体が前に小さく丸まった。クリトリスから伸びた糸が首の縄にくくりつけられた。

「そのままの姿勢で頑張っとけよ。」
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