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第30章 主導権＊

５分もしない内に返信がきた。これ、何て返せばいいのか分からない…。

あれ？有史さんからもメールが来てる。《土産何がいい？》６文字…。神部君のはもっと長いのに、有史さんのは６文字……。何だか悔しいから《お酒》と２文字だけ返した。

それより神部君…。《今週末、食事に行きませんか？》これ…どうしよう。手帳を見ると、予定で埋まっていた。少し悩んで、《あいにく予定が入っています。》と返すと、３分も経たない内に《再来週は？》もしかして、このやり取り…確約するまで延々と続くの？

どこかで、食事の予定を組まなければいけない気がしてきた。こういう場合は…。《都合をつけて、改めてご連絡差し上げます。》こんな感じでいいかしら？

食事…。二人で？週末に？考えただけで緊張してきた。行きたくない。仕事より、こういう対人関係の方がよっぽど大変…。誰か代わりに行ってくれれば良いのに。せめて付き添いでも…。

そうか。付き添いが居ればいいんだ。剛ちゃん…は却下。中田さんは…お子さんが居るから無理ね。春木さん？鮎川さん？日本にお友達なんて居ないわ…。どうしよう…。

悩んで悩んで。お昼ご飯どころじゃない。食べた物を消化できてる気がしない。