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第31章 私の事情②

痛っ…。取り巻きに足踏まれた…。残念だけど足先にトゥパット着けて靴履いてるから怪我なんてしないわよ。ふんっ。

そう思いながら、足先を踏んできた、青いシルクのドレスの女性を正面から見て、ぎょっとした。

この人、渡辺さんの妹だ…。会社のビルの１階ロビーで、渡辺さんとよく待ち合わせしてた…。何か言うべきかな？うん。言ってやろう。

「渡辺さんったら、御御足が長くていらっしゃるのね。ドレスの丈、足りてらっしゃる？そうそう、御姉様はお健やかでいらして？よろしくお伝えくださいね。」

青いドレスの女性は、苦虫を噛んだような顔をしてこちらをじっと睨みつけてきた。駄目だこりゃ…。もう限界、帰りたい…。

「何であんたが私の名前知ってんの…。あんた誰？」

怖い顔でそう凄まれて、ちょっと泣きたくなってきた。でも、いきなり目線を外したら負けそうな気がする…。

綺麗なドレスを身に付けて、顔だけは愛想良く微笑んで、やってる事はとんでもない。

真っ赤なドレスのボスキャラは、全身をくねらせながら孝徳さんと夢中で会話している。つうか凄い爪…。あれ、エクスカリバーだって言われたら信じちゃう子供も居ると思うわ…。コテコテと色々付けて、日常生活どうしてるの？

孝徳さん、早く帰ろうよ…。