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私は犬
第31章 私の事情②
何もしないで起きていると、ろくでも無い考えしか浮かばない。暇なら何かをすればいい。仕事でも趣味でも何でも…。お茶を飲んで寝てしまおう。そう思うのに、お茶が苦くて飲み込めない。

よし!こういう時はお酒を飲もう。さっき吉田さんが、『専務からお土産です。』と言って持たせてくれた袋の中は絶対にお酒だ。そうあたりをつけて、中の包みを破くとやっぱりお酒だった。

ふむふむ。マッカランと書いてある。これはウイスキーね。美味しいの?

タンブラーに注いで舐めてみた。美味しいというか香りが凄くて奥深い味。これに合うのは…。アイスクリーム!バニラ味!

そうと決まれば話は早い。冷凍庫からバニラアイスを取り出して、硝子の器にこんもり乗せた。ここにこのウイスキーを少し垂らす。あぁぁ…美味しい。深夜の甘いものって癒される…。

ウイスキーを舐めながら、ウイスキーアイスを食べる。ウイスキーって甘い物と合うんだねぇ…。バニラの味が引き立って、ウイスキーの香りも引き立って、これは素晴らしいマリアージュ。

「ただいま。お前、床に座って、何食ってんの?」

誰も居ないはずの深夜のキッチンで、背後から声を掛けられる事に、慣れているはずなんか無くて…。

「ひゃああああっ!」

右手にスプーンを握りしめたまま絶叫した。
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