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私は犬
第32章 我慢の限界*
日曜日

「ほら。口開けろ。」

開いた口の中に甘い液体が流れこむ。これ、黒蜜みたいな味がして、ねっとり喉に絡みついて美味しい…。

「はぁはぁ…もっと…。」

催促すると、有史さんは、液体の満たされたグラスに指を2本浸した。

「ほら、しゃぶれ…。」

甘い指が口に捩じ込まれて、指先が上顎をくすぐる。口の中が気持ちいい…。おとといアイスに掛けたシェリー酒が、出張のお土産だったなんて、気が付かなかった。

「うまいだろ?」

「はぁはぁ…美味しい…もっと…して。口の中、もっと触って…。」

有史さんは、さっきから私の言葉なんか無視して、自分の言いたい事しか言わない…。

「クリの飾り増やすか?足りないだろ?」

「はぁはぁ…足りてる…だからやめて…。」

今朝、出張土産の話になって、まさかあの、ペドロ・ヒメネスと書いてあるシェリー酒が、お土産だったとは気付かなくて、嘘つき呼ばわりしたら、納戸に連行されて閉じ込められた。

いつものように、おっぱいを縛られて、後ろ手に拘束されて、ウエストと、太ももと、膝裏に縄を巻かれて、文句を言ったら、カエルの格好のまんま、チンニングバーに吊るされてしまった。

暴れると、自分の重みで縄が食い込むから、なるべく静かにしている…。なのに…。
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