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私は犬
第32章 我慢の限界*
タンブラーの中の焼酎の残りが半分程になった時、有史さんがこっちを見た…。そのままテレビ見てなさいよっ!こっち見んなっ!

「お前…もしかして、酒飲んでる?」

そう問われて心臓がギクリと音を立てた気がする。どうして分かっちゃうんだろう…。どこから見ても水でしょ?これ?

「グラス貸しなさい…。」

また、怖い顔して先生みたいな口調になった。絶対に渡さないっ。証拠隠滅、全部、お腹の中にしまってやるっ!そう思って中身を一気に飲み干した。

「おいっ、………。」

有史さんがタンブラーを取り上げるより先に、全部飲んじゃった。ジョンめ、ザマーみろ。

有史さんは、取り上げたタンブラーの匂いを嗅いで、眉を思い切りひそめた。

「お前…やけに大人しいから変だと思ったら、いつの間に…。酒はおしまいって言ったろうが。この、うわばみ女っ…。」

「はいはい、もう飲みません。ご馳走さまでした。ププッ…。」

今日はもう飲まないよ。だから嘘じゃないよ。へへーん♪

「………。」

有史さんは、怖い顔しながらチェストの下段を開けて、中から赤い縄を取り出した。普段使っているものより少し細い…。もしかして、怒ってんのかな?ちょっとマズイ?
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