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私は犬
第12章 歓迎会
ん…?急いで必要な書類なら、主任に直接渡した方が早いのに、何で鮎川さん経由?ん……。他に添えるものがあるのかもしれないわね…。



化粧室で手を洗っていると、隣接するパウダールームから声が聞こえてきた。

「だから〜。主任超格好いい!」

「うわぁ。その目!主任の為なら何でもします的なオーラ出てるよ。」

「てへっ。」

「うわっ。きもっ。」

「今日の歓迎会、主任来るかな?私ワンピ買っちゃった。」

「いつも遅くなっても、顔だけは必ず出すから平気っしょ。ていうか、わざわざ着替えんの?ワンピに?」

「当たり前じゃん。こんな地味な服じゃいけない〜。下着も全部着替えるっ!」

「なんか凄いね。軽く引くわ…。」

「でもさ、主任、会社の子には絶対手出さないらしいじゃん。」

「だから、ここまでするんじゃん。あー。行く前にサウナか温泉寄って身体も磨きたいっ!何で近所に無いの?」

「ビジホかマン喫行けば?」

「ちーちゃん頭良すぎ!大好きっ。」


何だかよく分からない会話だけれども。あの偽ジェントル主任は、人気があるらしい…。みんな、彼があんな酷い男性だとは知らないから。呑気に夢を見ていられるんだわ…。

現実を知ったら嫌いになるかも…。教えて差しあげるのと、黙っているの、どちらが正しいのか分からないけれど。ここは黙っておいた方が良さそうね…。
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