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恋はどこからやってくる?
第3章 柏木の事情
グラウンドでのミニゲームのあと、居酒屋で開かれた飲み会で柏木はしたたかに酒を飲んだ。
酔って自分が誰だかわからなくなればいいと思った。それなのに。


支えてくれた腕の感触のせいか。
至近距離から見上げてしまった横顔のせいか。


柏木を心配し送ってくれた先輩に、想いの堰はとうとう崩壊した。

『ずっとずっと好きでした』

泣きながら数年分の想いを告げる柏木に、先輩の顔が歪んでいくのが見えた。

『やめてくれよ。勘弁してくれ。俺にはそんな趣味はない』

『お前がゲイだと言うことは誰にも言わない。だからお前も俺を好きだったなんて誰にも言うな』

『就活中だし、ゲイに好かれてたなんて知れたら困るんだよ』


六年間抱えてきた大切なものが、粉々に壊れるのはほんの刹那の事だった。


以来、柏木は誰も好きにならぬよう過ごしてきた。
愛情なんて介在しない関係なら傷つく事はない。
あんな思いは二度としたくなかった。


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