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恋はどこからやってくる?
第3章 柏木の事情
「そんなこと言っちゃって」

手酷い失恋のあと、投げやりに遊んでいた頃から柏木を知っているママだ。

セフレとの終わりを、自分の事のように憤り、哀しみ、慰めてくれた人だった。

「たまには顔を出して目の保養させてちょーだいよ」

柏木の表情を見れば心の霧が晴れていないのも察しているのであろうが、ママはそれだけ言うとカウンターから離れテーブル席の客へ酒を運んでいった。


すると入れ替わるように寄ってきた男がいた。

「なに飲んでるの?」

覗きこむ顔はつるりとして、髭よりも産毛が光っているような若者だった。おそらく二十代になったばかりだろう。
人懐っこい表情が子犬のようだ。

「僕も、飲みたいな」

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