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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第87章 季節を彩る紅色
いつもこんな風景を見ていると、時代劇のロケーションにはもってこいではないか。

 と、時代劇の好きな私はつい考えてしまう。

 一面の曼珠沙華やたくさんの紅葉した木々よりも

 私は何故か、まばらに咲く花や、そこだけ部分的に赤くわずかに色づいた一本の

 木の方が良い。

 派手やかに目立つものよりは、ひっそりとしたたたずまいを見せている花や
 
 植物に惹かれてしまうのは、自分に似たところがあるからかもしれない。

 この季節は秋から冬にうつろおうとする季節のいわば境目だ。

 そろそろ寒椿がこれからの季節を彩ろうとしてくれている。

 冬といえば、思い浮かぶのは純白の雪に鮮やかな寒椿が咲いている場面

 なのだけれど、哀しいことに雪国ではない当地は

 あまり現実にはお目にかかれない光景である。

 春と違って冬は花も少ないが、それでも、精一杯にその季節を彩ろうとする
 
 花がある。

 そういう花を愛でながら、これから始まる長い冬を過ごしたいものだと思っている。

 



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