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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第90章 光と影に愛された男~ 大河ドラマ 平清盛 より~
そして、ここが清盛の最も清盛らしいところですが、

 その2年間に、長男重盛以下、主立った平家一門の官職を次々にあげて

 自分ができるだけのことはして廟堂を去っていきました。

 しかし、去ったといえども、太政大臣は止めても

 依然として、というよりは以前よりも更に絶大な権力をふるうのですから、

 まさに無冠の帝王という肩書きがこの頃の彼にはふさわしい。

 私は終わりから見てきたので、先に清盛の晩年を見ています。

 晩年の彼は淋しいものでした。

 あれほど栄華と権勢を欲しいままにした彼はいつしか生きる目的を見失い、

 権力欲に囚われてしまいました。

 更に積年の恨みを晴らすべく、ついに立ち上がった頼朝の脅威におびえつつ、

 世を去ったのです。

   
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