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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第121章 花の降る音
 秋がかなり深まってくるこの時季になると
 どこからともなく流れてくる芳しい香り
 それは庭の柊の花の香りだ
 初めて知ったときは愕いた
 白い小さな花びらをたくさんつけた柊の花は
 強い風が吹くと一斉に舞い上がる
 まるで雪の花びらが風に舞い踊るように
 無数の純白の花びらが空(くう)を流れゆく



 花びらが舞う光景に目を奪われている中に
 かすかに聞こえてくる
 さらさら
 さらさら
 何の音かとよくよく耳を澄ませてみたら
 柊の花びらが舞い散る音だった
 何とも不思議な音色は
 よほど神経を集中させていなければ聞き逃してしまう
 かそけき 儚き音色
 まさに花たちの語り合う囁きのよう
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