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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第138章 簾越の艶(つや)
「簾越しの艶(つや)」

さわさわと木の葉をそよがせ
朝風が通り過ぎてゆく
ふと気づけば
洗面所の小窓にかかる簾越しに
庭の紫陽花がかいま見えた
六月の半ば
色を深めつつある花は鮮やかなピンクに染まっている
その傍らには珍しいガクアジサイ
手鞠のようなふっくらとした華やかな紫陽花とは違い
どこか淋しげな雰囲気をまとう
かつて我が家の庭には
普通の紫陽花しか咲いていなかったらしい
今は亡き祖母が旅行先から持ち帰ったガクアジサイを挿し木したとたん
あっという間にガクアジサイが増えたと母が語った
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