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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第145章 桜よ、永遠に(エッセイ)
 今日、その旧内科医院が取り壊されているのを初めて知り、軽いショックを受けた。春が来る度、この桜の下を通り満開の桜を眩しく見上げてきたけれど、もう、それもなくなるのだなと淋しくてならない。当然ながら、桜の大樹も跡形もなく綺麗になくなっていた。伐採されてしまったのだろう。
 改めて時の流れの無情さが身に迫った。とはいえ、時が流れれば、建物も老朽化する。私が子どもの頃でさえ古式ゆかしい建物であったから、今では尚更古びていたに違いない。その医院がいつ頃、診療を止めたのかも私は知らないのだ。桜が無くなったのは残念だが、日々進化する世の中では致し方ないのだろう。長年、我が家の子どもたちの想い出を彩ってくれた桜に、今はただ心からのお礼を言いたい気分である。
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